中部地方は日本の航空・宇宙産業の中心として航空博物館が沢山ありますが、
「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(空宙博 そらはく)」には貴重な展示機が沢山あります。
特に展示機のひとつ、三式戦闘機『飛燕』は世界唯一の現存機。たった1機しか現存しない飛燕を見学できるのは世界中でここだけ。
今までバリバリの海軍機推し派でしたが、飛燕は本気でかっこ良すぎた…。いや〜陸軍機ファンの人に謝りたいです。そしてこれは海軍機ファンにも絶対見学して欲しい…!
という事で、そんな岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に展示されている航空機をまとめました。
もくじ
空宙博(そらはく)の基本情報(場所・入館料・営業時間)
場所 | 〒504-0924 各務原市下切町5丁目1番地 |
営業時間 | 10:00〜17:00(土日祝10:00〜18:00) |
休館日 | 第1火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28〜1/2) |
入館料 | 800円(60歳以上・高校生500円、中学生は無料) |
駐車場 | あり(無料) |
公式サイト | 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 |
各務原市にある「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」。
30機以上の実機に加え、世界で唯一現存する旧陸軍の三式戦闘機「飛燕(ひえん)」やSTOL実験機「飛鳥」などの貴重な展示機を見学できるのが最大の魅力。
宇宙エリアにおいても、内部までリアルに再現した航空宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」や、小惑星探査機「はやぶさ2」の実物大模型は見応え満点。
飛行機ブロガーとして色々な航空博物館を見学してきましたが、「空宙博」は間違いなく日本有数の航空博物館と言えるでしょう。
アクセス
〒504-0924 各務原市下切町5丁目1番地
フロアガイド
フロアマップ
屋外展示エリア
広々とした駐車場に車を停めると博物館の入口までには、戦後の日本初となる国産旅客機YS-11を始めとした展示機がお出迎え。
屋外展示エリアにはKV-107AやYS-11A、US-1A、P-2Jなどの実機が展示されています。
航空機と航空機産業の始まり
館内展示では日本の航空機開発の歴史を順に辿ることができるので、日本の航空史がわかりやすく学べます。
最初のコーナー『航空機と航空機産業の始まり』エリアでは、川崎がこの地で最初に量産した飛行機「乙式一型偵察機(サルムソン2A2)」や、人類史初となる動力飛行機「ライトフライヤー」の復元機を展示。
戦前・戦中の航空機開発
次のコーナーは「戦前・戦中の航空機開発」エリア。
日本の航空黎明期は外国からの技術を導入するところから始まり、徐々に日本独自で技術開発ができるまでに。それは遂には世界トップクラスの航空機技術となり、零戦や飛燕などの名機が生まれました。
このゾーンでは2つの名機、土井武夫が生み出した三式戦闘機二型「飛燕」、もう1つは堀越二郎が生み出した「十二試艦上戦闘機(零戦の試作機)」の復元機が展示されています。
この空宙博で最大の目玉は、何といってもこれ。世界で唯一現存する三式戦闘機『飛燕』。
本気でめちゃくちゃ格好いい…!!
個人的には根っからの海軍機ファンだったので、実のところこの飛燕を見るまでは陸軍機にはあまり魅力を感じていなかったんですが、
この飛燕の日本軍機らしからぬ美しいフォルムにはただただ見惚れてしまいました。
その飛燕のスタイリッシュなフォルムを創り上げたのがこの液冷式エンジン。
当時の日本軍機といえばほとんどは空冷式の星型エンジンだったのでエンジン周りが太いのが特徴でしたが、
飛燕はドイツ軍の主力戦闘機『Bf109E メッサーシュミット』に搭載されていたダイムラーベンツ社製DB601液冷V型12気筒エンジンをライセンス生産して搭載、V型エンジン特有のスタイリッシュなフォルムとなりました。
一部では飛燕は和製メッサーとも呼ばれたみたいですが、
実際のところメッサーシュミットとの共通点はエンジンくらいで、見比べてみると主脚やラジエーターの位置、機体の形状などは大きく違います。
メッサーシュミットの実機はロンドンにあるイギリス空軍博物館で見学できるので、実際に見比べてみると面白いです。
→イギリス空軍博物館の展示機が凄い!戦略爆撃機から英国が誇る名機スピットファイアまで!
優れた設計で開発段階では驚くほどの高性能を発揮した飛燕。
しかし残念ながら技術力の低い日本にとって、ドイツの優れた技術力で開発された液冷式エンジンの生産・整備は難しく、飛燕は相次ぐエンジン故障により稼働率の低さに悩まされ、調子の悪いエンジンでは本来の性能も中々発揮できませんでした。
松本零士さんの作品である「THE COCKPIT」の鉄の竜騎兵の話の中でも、米軍に鹵獲された飛燕から機銃掃射の攻撃を受けるシーンがありますが、米軍パイロットが操縦する飛燕のエンジンが突如不調を起こして墜落してしまうという場面が描かれています。
このほかにも、海軍の名機である零戦の試作機「十二試艦上戦闘機」の復元機、計画で終わった戦略爆撃機「キ91」に搭載予定だった試作エンジン「ハ42-21(ハ214)」などが展示されています。
十二試艦上戦闘機の復元機は、海軍に引き渡される際の機体を忠実に再現しているとのこと。
戦後の航空機開発
次は「戦後の航空機開発」エリア。
終戦後、航空機の開発・製造が禁止された日本でしたが、GHQによる解禁後は航空機開発が再開され、自衛隊向けの航空機の開発・生産を中心に、ジェット機、短距離離着陸機、垂直離着陸機の研究なども進められました。
開発の年代ごとに並べられた約20機もの貴重な実機が並んだ展示エリアはまさに圧巻です。
展示機の中でも一際目を引くのがこちら、航技研(現在のJAXA)の低騒音STOL実験機の「飛鳥」。
短い滑走路でも離着陸可能な低騒音の技術を研究するために試作されたSTOL(短距離離着陸)実験機です。
C-1輸送機にそっくりな外見もそのはず、飛鳥はC-1輸送機をベースとして開発された機体で、国産のFJR710エンジンを4基搭載、
USB方式の高揚力装置のほか、HUDやSCASなどの当時の最新技術が盛り込まれた飛鳥は、STOL技術やSTOL旅客機の研究に利用されました。
航空機のしくみ
航空機のしくみゾーンでは、フライトシミュレーターをメインに航空機の原理などを学ぶことができるエリア。
フライトシミュレーターは小型機と旅客機のシミュレーターを体験することが可能。整理券式なので、体験希望の人は早めに整理券をもらっておくと良さそう。
宇宙エリア
航空エリアの先にあるのが宇宙エリア。
本物のロケットエンジン「LE-7」や、H-IIロケット先端部分のフェアリングの実物展示はなかなか圧巻。
フェアリング内の衛星なども見学することができ、ロケットの構造がよくわかります。
このエリアではロケット部品の実物展示を中心として、各国のロケット比較やロケットの構造、衛星や探査機などの模型やパネルが展示されています。
さらに国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」を精巧に再現した実物大模型もあり、こちらはなんと内部の見学も可能。
充実した展示内容で、宇宙について楽しく学ぶことができるエリアでした。
空宙博カフェ
博物館入り口付近には空宙博カフェを併設。
カレーやラーメンなどの食事、ホットドッグや唐揚げなどの軽食、キッズメニューからデザート、ドリンクまで一通り揃ってます。
カフェ内に自販機もあり、パンやアイスなども購入可能。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップでは、航空・宇宙グッズが購入できます。
空宙博でしか買えないオリジナルグッズもあったりするので、お土産を買うのにも良さそう。
展示機一覧
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館まとめ
一飛行機ファンとして沢山の航空博物館を見学してきましたが、
日本にある航空博物館の中でも空宙博は間違いなくトップクラスに充実した展示内容。
特にここでしか見学できない飛燕は、これだけのために足を運ぶ価値があると思います。