日本版エアフォースワンとも言える政府専用機は、千歳基地がホームベース。
羽田空港で訓練や整備などで訪れた政府専用機を見れただけでもラッキーですが、要人を乗せる機会となるとさらに特別。
政府専用機といえば、天皇陛下を始めとする皇族や総理大臣などのVIP輸送が任務ということで、できればその瞬間をこの目で見てみたいですよね。
ということで今回は、羽田空港における政府専用機のVIPフライトの流れと、その中で必ず撮りたい写真について紹介します。
もくじ
羽田空港におけるVIPフライトの流れ
任務前日に羽田へフェリーフライト
政府専用機のベースは千歳基地ですが、皇族や総理大臣が飛び立つのは羽田空港から。
そこでVIPフライトのために、政府専用機を千歳基地から羽田空港へフェリーします。
羽田へのフェリーフライトは、基本的には任務前日の午後。
稀に整備の遅れからか、深夜にフェリーされることもありますが、基本的には任務前日の午後に2機とも羽田へフェリーされることが多め。
政府専用機はフライトレーダー24には映りませんが、
→フライトレーダー24は、世界中の飛行機の位置がわかる神アプリ
近年ではTwitterなどを見ていると千歳を飛び立ったタイミングなどがわかることも多いので、活用してもいいですね。
羽田空港の到着滑走路ですが、政府専用機は北方面から到着するため、羽田の滑走路運用方法でいくと、北風なら34R、南風なら23に降りることが多いです。
→羽田空港の滑走路運用方法を解説。現在の使われ方と2020年3月末からの運用方法
羽田空港へフェリーを終えた政府専用機は、そのまま新たにできたVN・VSスポットまたはV1・V2スポットへスポットインし、VIPフライトへ備えます。
VIPフライト当日の流れ
VIPフライトの当日の朝。
前日の夜には1機しかいなかったとしても、この時点ですでに2機並んでいることがほとんど。
機体後部ドアのタラップやトーイングカーはまだ取り付けられていません。
この時点では、コクピットにもまだ国旗がありません。
VIPの到着はまだまだ先。
しばらくするとトーイングカーが取り付けられ、コクピットからは国旗が掲げられます。
V1スポットの本務機には国旗が掲げられますが、副務機には国旗は掲げられません。
今回の任務の本務機は、80-1112。
機体の後部ドアにもタラップが取り付けられました。
やがて機体後方にバスが到着します。
機体後方のドアから、同行の記者などが続々と機内へ乗り込んでいくのがわかります。
この時点で、首相到着の約1時間ほど前。
首相到着の約30分ほど前になると、機体前方のドア前に記者席が準備されます。
記者席の準備が完了。
機体後方のタラップ車が外され、関係者たちが整列して首相の到着を待ちます。
この時点で、首相到着の約20分前。
空港周辺では警察官による警戒が続き、規制が始まると間もなく首相たちを乗せた車列がやってきます。
警察官による交通規制がかかり、覆面パトカーに先導された車列がやってきました。
空港内に次々と滑り込んできます。
この瞬間は何度見てもかっこいいですね。
安倍総理が降りてきました。
記者席の前で総理がコメントすることもありますが、そのままタラップを上がることも。
タラップを上がった安倍総理が、こちらを向いてお手振り。
こちらはファインダー越しに安倍総理をお見送り。
行ってらっしゃい!
安倍総理が乗り込むとプッシュバックを行い、滑走路へ向けてタキシングします。
コールサインはジャパニーズエアフォースワン。
今回の任務ではC滑走路34Rからの離陸です。
滑走路の半分ほどで、ゆっくりと機首上げ。
機体がふわっと浮き上がり、エアボーン。
今回副務機の80-1111。
コールサインはジャパニーズエアフォースツー。
本務機離陸の約30分後でした。
副務機が上がるタイミングは、すぐに上がるときもあれば遅いときもあり、その日によって結構変わります。
同じく34Rからの離陸。
離陸滑走。
本務機を追って、30分後に飛び立ちました。
VIPフライト帰国の流れ
任務を終えて帰国したジャパニーズエアフォースワンは、行きと同様VIP用スポットであるVN・VSスポットまたはV1・V2スポットを目指します。
VIPスポットに到着すると、L1ドアにタラップが取り付けられ、安倍総理が降りてきます。
コクピットには国旗が掲げられています。
さて、気になるのはこの後の政府専用機の動きですが、その日によって変わってきます。
その日のうちに、千歳にフェリーされるパターン。
ドナドナされて、整備に入るパターンなど。
副務機は羽田には降りず、そのまま千歳に直行パターンもあります。
ということで、本務機は必ず羽田に降りてきますが、そのあと千歳へのフェリーがあるかや、副務機が降りてくるかなどは日によって違うので、帰りのフェリーを狙う場合は注意してください。
政府専用機のVIPフライトで撮りたい3つの写真
旗出し政府専用機
まずは旗を出しているシーン。これぞ政府専用機って感じでかっこいいですよね。
政府専用機が旗を出すのは、内閣総理大臣や皇室の方々を乗せた任務のみです。
この時のコールサインはジャパニーズエアフォースワンとなります。
整備や訓練での運行の場合は国旗は掲げられません。
コールサインもシグナスと呼ばれます。
エアバンドを聴いていて、ジャパニーズエアフォースワンのコールサインを聞くと、やっぱりかっこいい。
撮影のチャンスが少ない旗出しの政府専用機は、必ず狙いたい1枚です。
ただしVN、VSスポットが使われるようになってからは旗出しシーンが撮れることも少なくなりました。
要人の搭乗場面
次に撮りたいのはVIPの搭乗シーン。
羽田空港ではVIP機の駐機スポットとして、V1.V2スポットとVN・VSスポットがありますが、V1.V2スポットを利用する場合はP3駐車場の屋上がVIPの搭乗シーン撮影の定番です。
VN、VSスポット利用の場合、残念ながら撮影できる場所はありません。
黒塗りの車列が到着後、記者会見するかしないかは日によります。
記者会見がない場合は、すぐにタラップを上り始めるので、タイミングに注意。
タラップを上るのが確認できたら、あとは手を振ってくれるのを待つだけです。
2機並びの写真
2機並びの写真も必ず撮りたい1枚です。
要人輸送でのフライトの場合は、通常本務機と服務機の2機セットとなります。
政府専用機の2機並びの光景はいつみても圧巻ですよね。この政府専用機2機並びは要人輸送ならではの光景なので、是非とも写真に収めたいところ。
このシーンもV1.V2スポット限定ですが、P3駐車場から撮影することが可能。
こちらは、過去に1機で運行した例。
政府専用機の奥に駐機している機体が相棒を務めるJALのチャーター機。
皇族の方と総理大臣の日程が重なったり、故障などのやむを得ない場合、このように1機ずつの運行となってしまうことも稀にありますが、ほとんどの場合2機並びの光景が見られます。
しかし、新VIPスポットのVN、VSが利用されるようになってからは搭乗シーン、旗出し、2機並びの写真が撮影できる機会は非常に少なくなりました。
VIPスポットとは
VIPスポットは羽田空港の東側、第二ターミナルの北側にあり、赤色で示したVN.VSスポットとV1.V2スポットが特別機専用のVIPスポットとなります。
各国の政府専用機や特別機などは通常ここに駐機され、ここから要人が搭乗するためVIPスポットと呼ばれています。
VIPスポットには政府要人や皇族、国賓など超VIPしか利用できない貴賓室もあります。
VN.VSスポットは新しく作られたVIPスポットで、こちらを使用することが増えています。新VIPスポットのVN・VSはP3駐車場から狙うのは難しいため、撮影においては首相の搭乗、旗出し、プッシュバックが撮れるV1.V2スポットが人気。V1.V2スポットの駐機機会は減ってきているので、利用している機会があれば狙っていきたいところ。
プッシュバックから離陸するまでに移動可能?P3から2タミまでの移動時間
VIPスポットの撮影というと、P3駐車場屋上が定番。
北方面に向かう場合は通常C滑走路からの離陸になるため、第2ターミナルから撮影することができます。
P3駐車場も第2ターミナルにあるため、移動することが可能です。
気になるのは、VIPの搭乗からプッシュバックまでをP3駐車場で撮影し、その後急いで第2ターミナルの展望デッキに移動すれば政府専用機の離陸に間に合うのかどうか。
実際に移動時間を測ったところ、早歩きで向かってP3駐車場から第2ターミナル展望デッキまでは約5分。
プッシュバックから第2ターミナルデッキの前までタキシングするのは10分~15分くらいかかることが多いので、ほとんどの場合余裕。
ターミナル内は通路が狭くなっており、一般の方も多くいるので、全力疾走は結構危険です。
わざわざ走らなくても全然間に合いますので、マナーを守って気持ちよく撮影したいですね。
VIPフライトまとめ
要人を乗せた政府専用機は、シグナスとはちょっと違いますよね。
新VIPスポットのVN、VSが利用されるようになってからは羽田名物の首相の搭乗シーン、旗出し、2機並びの写真が撮影できる機会が少なくなったのは残念な点。
しかし政府専用機自体は撮影できる機会は意外と多いので、羽田空港の撮影スポットを参考にぜひ撮影してみてください。
→羽田空港撮影スポットまとめ。各ポイントごとの特徴と撮影ガイド