夜の飛行機にバルブ撮影のススメ! 簡単撮影方法と必要機材を紹介!

夜の飛行機の撮影方法。これは羽田で政府専用機のシグナスをバルブ撮影で撮った写真

みなさんバルブ撮影ってご存知ですか?

バルブ撮影は夜に飛行機を撮る方法のひとつです。

夜に飛行機を撮る方法でいうと流し撮りが有名ですが、バルブ撮影も覚えておいて損はありません。

バルブ撮影ができるようになると、撮影の幅が広がりますよ!

夜に飛行機を撮りに行こう!バルブ撮影とは?

バルブ撮影は、夜に飛行機を撮影する方法のひとつで、止まっている飛行機を非常に綺麗に撮影することができます。

夜間の撮影において、問題となってくるのはノイズ。

普通に撮影しようとする場合、夜間に明るくブレないように撮影するためには、ISOを上げてあげる必要があります。

しかしISOを上げると目立ってくるのが、砂あらしみたいなノイズ。どんなにピタっと止まっていても、あの砂あらしを見ただけでゲンナリです。

ノイズを抑えるために、シャッタースピード1/10で流し撮り撮影した例。よく見るとブレており、完全にピタっと止めるのは難しい。

でもノイズを防ぐためにISOを下げてシャッタースピードを落とすと、手ブレを起こしてしまいますよね。

バルブ撮影はシャッタースピードを極端に遅くしてノイズを発生させないようにする撮影方法です。

夜景を撮影する方法とほぼ同じなので、夜景と同じようにノイズレスで綺麗に撮影することができます。

背景に着陸機の光跡を入れてアクセントに

止まっている飛行機限定の撮影方法ですが、動いている機体もうまく使えば幻想的な写真にすることができます。

バルブ撮影に必要な機材

三脚

バルブ撮影に必須なのは三脚です。

シャッタースピードを非常に遅くして撮影するので手持ち撮影では絶対に撮影することができません。

三脚は望遠レンズとカメラの重さを支える必要があるのである程度しっかりとしたものを買う必要があります。

脚が細かったり軽すぎるものだとカメラやレンズを支えられませんし、仮に支えられたとしても風の影響を受けてカメラが揺れてしまい写真がボケてしまいます。

風が完全にない日というのはほとんどないので意外と注意が必要です。

三脚もピンキリで色々と売られていますが、風の影響を受けないためには推奨荷重3キロ以上のものがお勧めです。

私はVelbonのUT-63という三脚を使っています。

レリーズ

必須という訳ではないんですが、あると便利なのがレリーズです。

あとで詳しく説明しますが、レリーズがないと撮影時にシャッターのタイマー機能を使わなくてはならないので、シャッターを押してから実際に撮影が始まるまでにタイムラグが発生してしまいます。

レリーズがあればシャッターボタンを押した瞬間に撮影が始まるのでこのタイムラグは発生しません。

このシャッターボタンを押してから実際に撮影が始まるまでのタイムロスというのは非常に大きいです。

そもそも撮影が始まりシャッターが開いてから閉じるまでの間も時間がかかるので、撮影が始まる前の時間ロスは思った以上に大きいんです。

この間に機体が動いてしまうと失敗写真になってしまうので、バルブ撮影ではシャッターボタンを押してから撮影が終わるまでの時間を如何に短くできるかが勝負の分かれ目です。

バルブ撮影の方法

撮影準備とカメラの設定

撮影場所に着いたら三脚を準備しましょう。

三脚にカメラをセットしたら三脚を展開します。撮りたい構図になるように三脚を展開しましょう。

三脚の準備ができたら次はレンズとカメラの設定です。

バルブ撮影はカメラの設定が特殊ですのでよく覚えてくださいね。

まずはレンズの方の設定です。

手ブレ補正をオフにしてください。レンズのSTABILIZER と書いてあるスイッチです。オフにする理由はバルブ撮影では三脚を使用するため手ブレはしないのと、オンになっていると画質が低下する恐れがあるためです。

次にピントをマニュアルフォーカスにしましょう。

マニュアルにする理由は夜間は光量が少なくオートだとピントが狂いやすいので手動で正確に合わせてあげるためです。

次にカメラ本体の設定です。

F値を8にしましょう。F値を8にする理由はピントが合う範囲が広くなるのと、光条を出してあげるためです。

光条とは光源からシャキーンと出ている光の筋のことです。F値を絞ってあげる事で光源がキラキラと星のように輝きカッコいい写真になります。

ISOは400程度にしてください。ISOは本当は100がいいんですが、シャッタースピードをなるべく早くしたいのと、ISO400程度ではノイズが目立たないので400にします。

次にミラーアップ撮影をオンにしましょう。

カメラは通常シャッターが切れる時にミラーが動き、その衝撃で多少ブレてしまいます。

この衝撃の事をミラーショックといい、バルブ撮影においては特に影響を与えてしまいます。

ミラーアップをオンにする事で事前にカメラのミラーが上がるのでシャッターが切れる際に衝撃を抑えることができ、写真がブレるのを防ぐことができます。

次にオートライティングオプティマイザをオフにしましょう。

次に長秒時露光のノイズ低減をオフにしましょう。

次に高感度撮影時のノイズ低減をオフにしましょう。

次に高輝度側・階調優先をオフにしましょう。

これらをオフにする理由は逆にノイズが発生してしまう可能性がある事と、次のシャッターを切るまでに時間がかかってしまうためです。

そしてここからの設定はレリーズがある場合とない場合で変わります。

レリーズがある場合は撮影モードをバルブモードにするだけです。

レリーズがない場合は撮影モードをマニュアルモードにしましょう。

次にシャッタースピードを3.2秒にしましょう。

そしてドライブモードをセルフ2秒にしましょう。

撮影の仕方

カメラの設定ができたらいよいよ撮影。

バルブ撮影では、止まっている飛行機を撮影します。

まずは駐機中の機体を狙ってみましょう。

駐機中の機体であれば動き出す心配がないので、落ち着いて撮影できます。

構図を決めたらライブビューモードをオンにします。START/STOPと書かれているスイッチを押してください。

そうするとカメラのモニターにファインダーの映像が映し出されたと思います。

モニターの映像を見ながらピントリングを回してピントを合わせましょう。

モニターの映像を最大まで拡大しながら、正確にピントを合わせます。

この時に、どれだけ正確にピントが合わせられるか?が超大事!

ピントを合わせたら、あとはシャッターを切るだけです。

駐機中の機体は動く心配がないので、最初の練習台にぴったり

うまく撮れましたか?

もしも明る過ぎたり、暗かったらISOで調整します。

適切な明るさで撮れたら、写真をよーく見てみましょう。ズームして見てしっかりとピントが合っていれば大成功です。

駐機中の機体の撮影に慣れてきたら、次はもう少しカッコいい写真にチャレンジ。

今度はプッシュバック直後の機体や、離陸待ちなどで滑走路上や誘導路上で止まっている機体を撮影してみましょう。

特にプッシュバックでは、機体が止まってからトーイングカーを切り離すまでに時間的な余裕があるので狙いやすいはず。

次は、トーイングカーが付いていない機体を狙ってみましょう。

プッシュバックが終わり、トーイングカーが切り離されて安全な場所まで移動すると、いよいよ機体が動き出します。

トーイングカーが切り離されてから機体が動き出すまでの時間は短いので、撮影の難易度が格段に上がります。

プッシュバックが終わって機体が止まったら、急いでピントを合わせて待ちます。

トーイングカーが外れて構図の外に出ていったらシャッターを切ります。

機体が動く前に撮影できたら大成功!

多くの場合、ランディングライトが点灯してから機体が動き出すまでの間は一瞬

更に狙っていきたいのは、ランディングライトを点けている機体の撮影です。

飛行機の多くはプッシュバックされた後、機体が動き出す直前にランディングライトを点けるので、その瞬間が撮影できると非常にカッコいい写真になります。

多くの場合、ランディングライトを点けてから動き出すまでの時間はほぼ一瞬、もしくは動き出してから点灯させる機体なんかもあったりと、難易度は格段にアップします。

最初は難しいと思いますが、何度もチャレンジしてみて下さい。

この撮影では素早くピントを合わせるのが成功の鍵です。

バルブ撮影が上手にできるようになったら、夜景撮影に応用する事ができますよ。

バルブ撮影と夜景撮影は撮り方がほぼ同じです。むしろ飛行機と違って動かない分、夜景撮影の方が簡単です。

おわりに

上手に撮れましたでしょうか?

バルブ撮影はうまく撮れたら昼間の撮影とはまた違った夜の空港のカッコいい写真になりますよね。

いつも見慣れていた飛行機も夜の写真ではまた違った表情になります。

慣れないうちは設定やピント合わせに時間がかかるかもしれませんが、慣れたら素早くできるようになりますよ。

飛行機写真の表現の幅が広がりますので、是非このバルブ撮影、マスターしてみてください。

飛行機撮影入門ガイド。設定・構図などの基本から撮影テクニックまで!

2020年7月26日

この記事を気に入ったら、シェアしていただけると嬉しいです⬇︎