飛行機を撮影する時にどうしても力が入る時があります。
それは絶対に撮りたい飛行機が来る時。
エアバンドを購入する前は『エアバンドってそもそも必要なの?』と疑問に思ってました。
しかし購入してわかったのが、撮りたい飛行機を確実に撮影するためには絶対にエアバンドが必要だということ。
という事で今回は、飛行機撮影をする上でのエアバンドの実際の活用方法を解説していきたいと思います。
エアバンドの操作方法など、具体的な使い方について知りたい方は、【完全版】エアバンド初心者のための航空無線使い方ガイド!今日から聴けるの記事で詳しく紹介しています。
もくじ
そもそもエアバンドって必要なの?
結論から言うと必要です。撮りたい飛行機があったり、本格的に撮影をするのであれば絶対に用意したい装備です。
エアバンドがある事で特に役立つのが
- 撮りたい飛行機の使用滑走路を確認
- 政府専用機や軍用機を撮影する時
エアバンドがある事で失敗する確率を大きく下げることができるからです。
撮影のチャンスが少ない機体であれば絶対に外せないですよね?
そういった場面でエアバンドは大いに役に立ちます。
飛行機を撮影する上でエアバンドが必要な場面
滑走路の確認

成田や羽田など滑走路が複数ある空港で困るのが、どの滑走路を使用するか。
使用滑走路によって撮影場所を変える必要があるので、撮りたい飛行機の使用滑走路の確認は必須です。
民間機であれば機影はフライトレーダー24にも映りますが、フライトレーダー上で使用滑走路を確認してから移動しても間に合いません。
基本的に撮影ポイントの移動は徒歩の移動で30分以上、車を使えても15分はかかります。ですのでいち早く撮影対象の使用滑走路を知ることが飛行機撮影においては大切です。
エアバンドがあれば早めに使用滑走路を知ることができるので、使用滑走路に合わせて撮影ポイントを移動する事が可能になります。
実際の使用例で説明します

NCAの着陸を成田で撮影することを想定します。
この日の成田空港の風向きは南風です。成田空港に滑走路はA滑走路とB滑走路の2本があり、南風だとA滑走路の16R、B滑走路の16Lのどちらかに降りてくる事が予想できます。
A滑走路の場合はさくらの山から、B滑走路の場合は東雲の丘から撮影しようと考えました。
問題はファイナルアプローチに入り、フライトレーダー24で到着滑走路を確認してから撮影ポイントを移動しては間に合わないことです。
フライトレーダー24で機影を見て滑走路を判断できるタイミングは着陸の3分前くらいです。
確実に撮影するためにはもっと早く使用滑走路を知りたいですよね。そこでエアバンドの出番です。
エアバンドがあればアプローチのタイミング、到着の15~20分前には使用滑走路を知ることができます。
それではエアバンドを成田のアプローチに合わせておきましょう。

9時43分、NCAの226便が14,000ftまで降下してきました。
このタイミングでアプローチよりA滑走路16Rへの指示がありました。
フライトレーダー24の画面ではどの滑走路に降りるか、全くわかりませんね。
エアバンドがあればこの時点で撮影ポイントへ移動することができます。

アプローチより滑走路の指示があってから約10分が経過、6,000ftまで降下してきました。
まだフライトレーダー24上では滑走路の判断ができません。

アプローチからA滑走路の指示があってから約15分が経過、NCA226便はファイナルアプローチに入りました。
フライトレーダー24の画面では、A滑走路に降りそうかなという感じは少しありますが、まだはっきりとは滑走路の判断はできません。

アプローチによるA滑走路の指示から約17分後、フライトレーダー24の画面上でもA滑走路に降りる確信が持てる位置まで機体が近づいてきました。
しかし着陸までに残された時間はあと僅かしかありません。この時点で撮影スポットに到着していないとおそらく撮影は難しいでしょう。

10時2分、NCA226便は成田空港のA滑走路16Rに着陸しました。
アプローチの滑走路の指示から約19分後のことです。エアバンドがあればこれだけの時間を確保することができます。
これだけ時間があれば、撮影ポイントの移動も十分可能ですね。
軍用機や政府専用機を撮影する時

軍用機や政府専用機はフライトレーダー24には映りません。撮影の手がかりとなるのがエアバンドです。
姿は見えなくても、エアバンドを聞けばその機体がどこにいるか、どの滑走路を使用するかがわかるので、撮影の目処を立てることが可能です。
こちらも実際の使用例を紹介します
千歳から来る予定の政府専用機の着陸を、羽田空港で狙う事を想定します。
この日の羽田空港の風向きは北風です。北風運用の場合、使用滑走路はA滑走路の34LまたはC滑走路の34Rなので、そのどちらかに降りてくることが予想できます。
政府専用機専用機はフライトレーダー24には映りませんので、頼りになるのはエアバンドです。
この日は千歳基地から羽田空港に来るため、エアバンドを北方面からのアプローチ周波数である119.4に合わせておきます。
しばらくすると政府専用機がシグナスのコールサインで呼ばれ、C滑走路の34Rへのアプローチが指示されました。
これを確認してC滑走路を見渡すことのできる第2ターミナル展望デッキへ移動、アプローチの指示から約20分後にシグナスが着陸、撮影する事ができました。

このように到着機の来る方面がわかっていれば、エアバンドを聴くことで簡単に使用滑走路を事前に知る事ができます。
飛行機撮影でのエアバンドの実際の活用例
羽田で実際に使ってみよう
実際にエアバンドを使って、到着機をアプローチから着陸まで追いかけてみましょう。
今回のターゲットはエアカナダの001便です。
エアバンドの周波数を北方面からのアプローチである119.4に合わせておきましょう。
さて、AC001便が14,000ftまで降下してきました。

ここでAC001便がアプローチとコンタクトします。


アプローチより10,000ftまでの降下と滑走路22へのLDA W 22アプローチの予定が伝えられました。
その後、段階的に降下の指示があり、6,000ftまで降下してきました。

ここで東京アプローチより、滑走路22へのLDA W方式による進入の許可がでました。


AC001便が高度5,000ftまで降下してきたとき、アプローチよりタワーとコンタクトするように指示がありました。



ここでB滑走路担当のタワーの周波数である118.575へ切り替えます。
タワーより滑走路22へアプローチの継続を指示されます。



前方にまだANA636便がいるため、着陸許可が出せないんですね。
高度1,000ft、滑走路上からANA636便が離脱したタイミングで、タワーより滑走路22への着陸許可が出ました。



AC001便は無事に滑走路22に着陸、タワーよりグランドにコンタクトするように指示がありました。


国際線ターミナル側担当のグランド周波数である121.625に合わせましょう。


グランドよりAC001便はM誘導路、L誘導路経由のタキシングの許可がでました。

おつかれさまでした。
AC001便はM誘導路、L誘導路、その後にP4誘導路を経由し、無事スポットインすることができました。
おすすめエアバンド

エアバンドは多くの会社から発売されていますが、とくに有名なのはアイコム製とアルインコ製。
中でも特におすすめなのが、私も使っているアイコムの『IC-R6』です。
このIC-R6は数多く発売されているエアバンドの中でもスキャン速度が速く、感度も優れているので、大切な交信を聞き逃しません。
エアバンドでは感度とスキャン速度が速いのは大切なポイントなので、この2つに優れているIC-R6は本当に使いやすいですね。
サイズが小型なところもありがたいポイントです。
初めからプリセットで全国の空港、基地の周波数が登録されているので、すぐに使えます。
おわりに
エアバンドがあると撮影の確実性が上がります。交信は英語なので慣れるまでは聞き取りにくいかもしれませんが、航空無線は用語が決まっているのですぐにわかるようになります。
エアバンドを買ったらぜひお近くの空港で聞いてみてください。