レシーバーを快適に使いこなすのに避けて通れないのが、レシーバーへの周波数登録。
IC-R6は初めからプリセットにより豊富な周波数が登録されているので、購入後すぐに使えるのが魅力です。
しかしプリセットは便利な反面、必要な周波数が登録されていなかったり、不必要な周波数が登録されていたりと、痒いところに手が届かないんですよね。
そこで是非やりたいのが、IC-R6の自分に合わせたカスタマイズ!自分の撮影スタイルに合わせてカスタマイズする事で、IC-R6がリアルに10倍使いやすくなります。カスタマイズと言っても受信機の改造ではなく、セッティングを変えるだけなので、難しくありません。
という事で今回は、IC-R6のカスタマイズ方法について紹介します。
この記事の中では、カスタマイズが必要な理由とともに、実際の操作手順をわかりやすく説明していきます。
使いやすくなれば飛行機撮影が超快適になるので、ぜひやっておきましょう。
もくじ
そもそもなんでカスタマイズが必要なの?
初心者の頃には手軽に始められて便利なプリセットですが、使い方に慣れてくると不便になってきます。
特に私が不便を感じたのがこのあたり。
プリセットが不便な点
- プリセットだと聞きたい周波数が網羅されていない
- 羽田、成田も歯抜けで情報が古い
- 地元の空港の周波数が登録されていない
- 必要ない周波数が登録されている
- 消防や鉄道など、デジタル化が進んで既に聞けない周波数まで登録されている
簡単にまとめると、必要ない周波数がごちゃごちゃと大量に登録され、必要な周波数が登録されてないんですよね。
IC-R6はカスタマイズする事で超快適に
撮影環境っていうのは人それぞれ違うじゃないですか。軍用機を撮らない人なら基地の周波数は必要ないですし、沖縄の人なら那覇とか普天間の周波数を登録しておきたいですよね。
自分の撮影環境に合ったあなただけのオリジナルのIC-R6にセッティングすることで、使うのが超快適になります。
このセッティングは、自分の必要な周波数をIC-R6にひとつずつ打ち込んでいく作業になるので、5時間くらいかかります。笑
でもこの作業を行うことで、IC-R6の使い方の理解が進みますし、何よりも撮影が超快適になるので、絶対にやって損はないと思います。お休みの日に頑張ってやってみてください。
IC-R6のカスタマイズ方法
それではカスタマイズを実際に行ってみましょう。ちょっと時間がかかりますのでご注意を。
セッティング手順
作業を始める前に、これからどんなことをやるのか、まず作業の全体的な流れを説明しますね。
今回のカスタマイズでは、
1、クリアにしたIC-R6に自分が必要な周波数を登録してバンクにまとめる
2、サーチ用に周波数を設定する
のカスタマイズを行います。
作業の流れとしては、以下のような感じで進めていきます。
セッティングの手順
- オールリセット
- 周波数をチャンネル登録
- チャンネル登録した周波数をバンク登録
- チャンネル、バンクにネームを付ける
- プログラムスキャンの上限、下限周波数を登録
セッティングで行う工程としては主にこの5項目。
①の項目ではオールリセットにより、IC-R6をクリアにします。
②の項目では自分が必要な周波数をチャンネルに登録します。
③の項目では、登録した周波数をグループに振り分けます。
④の項目では、自分がわかりやすいようにバンクとチャンネルに名前を付けます。
⑤の項目では、サーチ用にエアバンドの周波数帯を登録します。
それでは早速やり方を順番に説明していきましょう。
①オールリセット
IC-R6カスタマイズ最初の儀式はオールリセットです。
このレシーバーの売りのひとつでもある膨大なプリセットを全て消す事になるので勇気がいりますが、邪魔なので思い切って消しちゃいましょう。
①電源を入れた後、電源ボタンを押してOFFにします。
②FUNCキーとV/Mキーの2つを同時に押しながら電源をONにします。
③CLEARが表示されたら完了です。
②周波数をチャンネル登録
次に周波数をメモリーチャンネルに登録していきます。
ここでは例として羽田空港の周波数を登録します。
まずは羽田空港のタワーである118.10をメモリーチャンネルに登録します。
①『V/M』キーを押して、VFOモードを選択。(液晶右側にMRの表示がない状態)
②BANDキーを数回押して118.10の周波数に近づける。
③ダイヤルを回して周波数を118.10に合わせる。(この時にFUNCキーを押しながらダイヤルを回すと周波数を大きく変える事ができます。)
④V/Mキーをピッ、ピーと鳴るまで長押しすると、セレクトメモリーライトモード(周波数を書き込むチャンネルを選択するモード)になります。
⑤ダイヤルを回して001チャンネルを選択します。
オールリセットにより001チャンネルは何も書き込まれてない状態なので、空白になっているはずです。
(既に周波数が書き込まれたチャンネルにはその周波数が表示されるのでわかるようになっています。誤って上書きしないように気をつけて下さい。必ず空白になっているチャンネルに書き込みましょう。)
⑥V/Mキーを長押しします。ピッ、ピピと鳴ったら書き込み完了です。これで001チャンネルに118.10が書き込みされました。
VFOモードに戻るので、次に登録したい周波数にダイヤルを合わせて、④から同様の手順を繰り返し、002チャンネル、003チャンネルと羽田空港の周波数を順次書き込んでいきましょう。羽田空港の全ての周波数をチャンネルに書き込んでください。
チャンネル | 周波数 |
1ch | 118.1 |
2ch | 119.4 |
3ch | 121.7 |
4ch | 126.0 |
5ch | 128.8 |
③チャンネル登録した周波数をバンク登録
羽田の周波数を全てメモリーチャンネルに登録できましたか?
次は登録した周波数を一つのグループにまとめて、羽田空港専用のバンクを作りましょう。
①『V/M』キーを押して、メモリーモードを選択。(液晶右側にMRの表示がある状態)
②BANDを押してメモリーチャンネルを表示する。(MRの下に005など3桁の数字のみ書かれているのがメモリーチャンネルです。3桁の数字の左上にAW表示がある場合はAWチャンネルなので、もう一度BANDキーを押してメモリーチャンネルに変えてください。)
③ダイヤルを回してバンク登録したいチャンネルを選択。例として001チャンネルに登録した118.10を選択します。
④V/Mキーをピッ、ピーと鳴るまで長押しし、セレクトメモリーライトモードにします。(MRとチャンネルが点滅します。)
⑤MODEキーを押して、BANKを選択。
⑥BANDキーを押してバンクを選択。ここでは例としてAバンクを選びます。
⑦ダイヤルを回してAバンクの中に登録するチャンネルを選択します。ここではA-01を選択します。
⑧V/Mキーを長押しし、ピッ、ピピっと鳴ったらバンクチャンネルに登録完了です。
⑨③に戻り、002チャンネル、003チャンネルと登録した周波数を順次Aバンクに登録していきましょう。
バンク | チャンネル | 周波数 |
A | 1ch | 118.1 |
2ch | 119.4 | |
3ch | 121.7 | |
4ch | 126.0 | |
5ch | 128.8 |
④チャンネル、バンクにネームを付ける
これでチャンネルがバンクにまとめられてすっきりしました。しかしこれではどのチャンネルがなんの周波数なのかわかりませんよね。
そこでチャンネルとバンクにそれぞれ名前を入れていきます。
まずはチャンネル名の入れ方から。
①『V/M』キーを押して、メモリーモードを選択。(液晶右側にMRの表示がある状態)
②BANDを押してメモリーチャンネルを表示する。
③ダイヤルを回して名前を登録したいチャンネルを選択。例として001チャンネルに登録した118.10を選択します。
④V/Mキーをピッ、ピーと鳴るまで長押しし、セレクトメモリーライトモードにします。(MRとチャンネルが点滅します。)
⑤MODEキーを押して、M NAME(メモリーネーム)を選択。
⑥FUNCを押しながらダイヤルを回し、6文字以内で名前を入力します。(FUNCを離すとカーソルを移動できます。)
118.1はA滑走路のタワーの周波数なので、TWR-Aと入力します。自分のわかりやすい名前を入力してください。
⑦V/Mキーを長押しし、ピッ、ピピっと鳴ったらチャンネル名の登録が完了です。
同様の手順でチャンネルに順次名前を入れていきましょう。
次はバンド名を入れましょう。手順はほとんど同じです。
①『V/M』キーを押して、メモリーモードを選択。(液晶右側にMRの表示がある状態)
②BANDを押して今度はメモリーチャンネルではなく、Aバンクを表示する。
③V/Mキーをピッ、ピーと鳴るまで長押しし、セレクトメモリーライトモードにします。(MRとチャンネルが点滅します。)
④MODEキーを押して、B NAME(バンクネーム)を選択。
⑤FUNCを押しながらダイヤルを回し、6文字以内で名前を入力します。(FUNCを離すとカーソルを移動できます。)
Aバンクに羽田空港の周波数をまとめたので、ここでは3レターコードのHNDと入力します。
⑥V/Mキーを長押しし、ピッ、ピピっと鳴ったらチャンネル名の登録が完了です。
バンク(名前) | チャンネル | 周波数 |
A(HND) | 1ch(TWR-A) | 118.1 |
2ch(APP-N) | 119.4 | |
3ch(GND-W) | 121.7 | |
4ch(DEP) | 126.0 | |
5ch(ATIS) | 128.8 |
⑤プログラムスキャンの上限、下限周波数を登録
この項目では、サーチで使う周波数の範囲を登録します。
航空管制で使用される周波数帯は世界共通なので、これをプログラムスキャンに登録しておけば、知らない空港に行ってもワンタッチで周波数が探せるようになるんですね。
航空管制で使われる周波数は、
- 118.0~142.0(民間機・軍用機用)
- 225.0~400.0(軍用機用)
なので、これをプログラムスキャンに登録していきます。
①『V/M』キーを押して、VFOモードを選択。(液晶右側にMRの表示がない状態)
②周波数を118.0に合わせる。(電波形式はAM)
③『TS』キーを押し、ダイヤルを回してチューニングステップを25.0にしたら、再度『TS』キーを押して戻る。
④V/Mキーをピッ、ピーと鳴るまで長押しし、ダイヤルを回して01Aを選択したら、V/Mキーピッ、ピピと鳴るまで長押しする(周波数の下限設定が完了)
⑤周波数を142.0に合わせる。(電波形式はAM)
⑥V/Mキーをピッ、ピーと鳴るまで長押しし、ダイヤルを回して01Bを選択したら、V/Mキーピッ、ピピと鳴るまで長押しする(周波数の上限設定が完了)
同様にして02Aに225.0、02Bに400.0を登録しましょう。
10倍使いやすくなった私のセッティング
どんなふうにセッティングしたらいいかわからないと思うので、参考までに私のセッティングを紹介します。
バンク | 種類 |
A | カンパニー |
B | 基地内周波数 |
C | 緊急用 |
D | 新千歳空港(千歳基地) |
E | 三沢基地 |
F | 松島基地 |
G | 成田空港 |
H | 羽田空港 |
I | 入間基地 |
J | 厚木基地 |
K | 横田基地 |
L | 百里基地 |
Y | 遠征・イベント用 |
Aには航空会社や官公庁などのカンパニー周波数を、自衛隊や米軍基地内の連絡波、Cは国際緊急周波数や救難用周波数などのエマージェンシー関係や、発見したGCI波などの秘匿系、Eから先は基地を中心に自分がよく遠征する基地や空港を、わかりやすく北方面から順に北海道から沖縄まで登録しています。
IC-R6ではバンク数が足りず希望の周波数全てを登録できないため、足りない分は遠征・イベント用として、Yバンクに必要に応じてその都度登録しています。
このセッティングを考えるのがなかなか楽しいんですよね。
おわりに
セッティングは人の数だけ無限大にあります。
エアバンドのセッティングを見れば、その人の趣味がわかりますよね。笑
ぜひお気に入りの周波数を登録して、あなただけのオリジナルのIC-R6に仕上げてみてください。
手間はかかりますが、愛着がわきますよ!